自律神経の乱れが原因の症状には
自律神経専門の鍼灸治療が有効です

自律神経失調症の治療

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた時に生じる病気です。そして、自律神経失調症に最も効果のある治療法は、鍼灸治療です。

鍼灸治療は、薬のように副作用もなく、自分で自律神経をコントロールできるように促してあげる治療法でもあります。

鍼灸治療は、本来、自律神経の働きを意図的に整えることができる治療法です。
WHO(世界保健機関)の伝統医学部門、鍼灸に関する報告書の「臨床試験によって有効性が証明された」という疾患・症状では、うつ症状、頭痛、頚部痛(首の痛み)、腰痛、吐き気、低血圧、高血圧などが明記されています。また、頭痛に対しては、日本頭痛学会のガイドラインの中で最も効果のある治療法の一つとして鍼灸治療があげられています。

自律神経失調症とうつ病の違い

自律神経失調症は、自律神経がストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、正常に機能しないことによって起こるさまざまな症状の総称です。

一方、うつ病は脳の神経細胞の間で「神経伝達物質」と呼ばれるセロトニンやノルアドレナリンの量が減って、情報がうまく伝わらないために、さまざまな症状があらわれる病気と考えられています。

うつ病の中にも自律神経症状はよく認められます。しかし、うつ病では、自律神経失調症とは診断しません。あくまで状態であり、自律神経症状です。

自律神経失調症の検査

除外診断

自律神経失調症と診断するためには、問診で確認した病気を含め、更年期障害、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、心身症、過敏性腸症候群、うつ病、狭心症、起立性調節障害など、似たような症状で考えられる病気すべてを除外していきます。そのために、病院での検査結果をお持ちの患者さんには確認させていただく場合もあります。

自律神経失調症は、自律神経自体に構造的な問題はありません。
自律神経失調症は、ストレス、不安、うつなどの精神的な問題により動悸、頭痛、体の重さ、しびれ、めまい、過呼吸、下痢、ほてり、多汗など自律神経が支配する様々な臓器の不調を示す機能不全による症状がみられるものです。

TMI:自律神経失調症・精神状態のチェック

自律神経失調症と精神状態のチェック項目の質問すべてに「はい」「いいえ」で答え、「はい」の合計数で分類します。

・自律神経症状の質問は43項目
・精神状態の質問は51項目

1 いつも耳鳴りがしますか(はい・いいえ)
2

胸のところが締めつけられるように感じたことがありますか(はい・いいえ)

3

胸のところが押さえつけられるように感じたことがありますか(はい・いいえ)

4 動悸がして気になることがよくありますか(はい・いいえ)
5 心臓が狂ったように早く打つことがありますか(はい・いいえ)

自律神経失調症の治療

治療目的

  • ストレスを和らげ、自律神経症状を改善する
  • 身体症状が改善することで、悪循環をなくす
  • 二次的なうつ状態や不安障害を改善する

自律神経失調症では、交感神経が過緊張状態であることが多いです。そのため、薬でも鍼灸でも交感神経の興奮状態をいかに鎮めてあげるかが症状改善の近道となります。

鍼灸治療では、

  1. 副交感神経機能を高める
  2. 交感神経機能の過緊張を鎮める
  3. 交感神経機能を高める

など薬ではできないことを状態に合わせて選択治療します。

1は、軽度の自律神経失調症もしくは再発防止の管理のために。
2は、自律神経失調症の症状が強い場合。
3は、どちらかというと起立性調節性や喘息発作に対して活用することが多いです。

自律神経の機能は、呼吸、体位(臥位、座位、立位)、刺激方法、刺激部位によって変化します。
この性質を利用して、症状に合わせて一定の法則で鍼灸治療をおこなうと、自律神経機能の乱れが改善され、正常に働くようになります。

鍼灸治療の効果

効果1:心拍数の減少

自律神経失調症の患者さんは、心拍数が多くなっている傾向にあり、副交感神経抑制状態にあるといえます。

前述の鍼灸治療をおこなうことにより、治療中から心拍数が低下していきます。これは、副交感神経機能が活性化し、自然治癒力を高める理想的なリラックスした状態になるということです。

効果2:血圧の低下

血圧が高い、イライラする、眠れない、頭痛がする、手足が冷える、浮腫むなど交感神経機能の高まりが原因で起こる症状に対し、全身的交感神経機能の過緊張を解く作用のある鍼灸治療をすることで前述した症状が改善していきます。

効果3:片頭痛の改善

疲れやすい、低血圧、朝起きれない、片頭痛がする、立ちくらみがする、夕方になると足が浮腫むなど交感神経機能の低下によって起こる症状は、全身的交感神経機能の適度な亢進作用が望める鍼灸治療を行うことで血管の緊張性も高まり、特徴的な諸症状を改善させてくれます。

効果4:柔軟性の向上

鍼灸治療をおこなうことで、交感神経の過剰亢進が正常化し、筋肉の過緊張が改善されます。鍼灸治療をおこなうことで、立位体前屈からの指床間距離が治療前と比べて近づいたという研究結果も出ています。この変化は治療直後に体感することもできます。

効果5:冷え性の改善

自律神経の機能が改善することで、末梢血管(指先の血管)の過緊張がとれることで鍼灸治療5分後より指先の皮膚温度が上昇しています。この反応は、ホメオスタシスの関係から、冷えのあるケースでは治療により温度が上昇、しかし、冷えのない時には反応がほとんど起きない、反応が5分後と少し時間がかかることがわかります。

もともと、血管は自律神経によって支配されているため、自律神経の機能に異常がしょうずると当然のことながら血管の運動に変化が起こり、冷えやほてりなどがあらわれます。特に足の冷えの多くは、足の血管の緊張が解けないという状態で起きます。更年期障害の冷えやほてりも、自律神経関与の症状としてあらわれるものが多いです。

効果6:朝起きれるようになる

自律神経障害の一つとして、思春期の子供に多い起立性調節障害があります。

起立性調節障害とは、朝起きれない気持ちが悪い頭痛がするなどの症状を伴う自律神経の機能不全を起こしている病気で、その殆どが自律神経(末梢血管交感神経)活動が低下しています。

立ちくらみである起立性低血圧も自律神経障害の一種ですが、起立性調節障害では、起立直後すぐに活発化するはずの交感神経が作動せず、また循環血漿流量も少ないことが相まって血圧が低下したままになります。

一方、心臓は血圧を維持するために心拍数を増加させ、起立中に頻脈を起こします。

鍼灸治療をおこなうことで、このような交感神経の低下による血圧の低下や頻脈を正常に維持できるようになり、朝、血圧が低すぎて起きれない、頭痛がして動けないといったような症状を改善することができます。

自律神経の症状を楽にする方法は

自律神経失調症になる原因は、現在の生活スタイルに必ず問題があります。
何も対処をしないままでいると、症状が悪化し深刻な状態になってしまいます。
そのため、自覚症状に対して一つずつ対応していく必要があります。当院の鍼灸治療は、症状を緩和させながら、再発防止、ストレスに耐えられる体質にかえる方針をとっています。

まずは今ある症状を楽にして、安心して生活できるよう治療をはじめましょう。
いろいろな治療を転々とするのではなく、鍼灸治療で一緒に根本的に治していきましょう。